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第 2章 暗号通貨の基本原則と時代のバットマン

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このトピックに入るには、ちょっと回り道をして銀行セクタ–から始めてみましょう。

国に関係なく、現代の銀行システム全体は、私たちが自分のお金を所有しないようなシステムになっています。どの国の中央銀行も法律によって通貨発行権を独占しており、暗号通貨の合法化を確実に妨げています。

「法定通貨」とは、政府の規制または法律によって本質的な価値のない通貨(ドル、ユ–ロなど)をマネ–として指定するため、暗号通貨コミュニティが使っている用語です。

理論的には、この通貨は、その国の全国民が個人のお金を商品に換えられるよう、少なくとも特定の国の領土で生産される物、商品またはサ–ビスなどで担保されるべきです。その国の全銀行は、同じ通貨を引き受け、中央銀行は、安定性と信頼性を維持するよう約束します。これが理論上の機能ですが、実際に通貨の安定を保証することはできません。

国の政府は、国民のための全商品・サ–ビスの主な顧客です。つまり最大の雇用者の一人なのです。また、道路、住宅、病院、学校など建設の最大の顧客でもあります。これは、特定の国のGDPの大部分を占めています。したがって、政府は国民の生活を確保し、年金および社会的給付を支払います。これらの資金はすべて、通貨を発行し、政府に融資することができる中央銀行から出てきます。

量的緩和と呼ばれる政策は、かつて米国で実施され、その後ヨ–ロッパや日本にまで広がりました。この出来事により、世界の通貨量は大幅に増加しましたが、ドルの購買力は過去100年間で95%減少しています。この傾向は続いています。 お金が多くなれば、価値は下がるのです。

それぞれの通貨でインフレが発生することを覚えておくことが重要です。これは、ある期間にわたる通貨の下落を示しています。言い換えれば、インフレはお金の循環の速度です。国の経済には、人々がロ–ンを利用して返済するという独自の循環があります。

これらのロ–ンに言及しない訳にはいきませんね。米国では、ロ–ンの金利は平均1%です。過去には長くゼロ水準に留まっていた期間がありました。中央銀行は通貨を発行して金融資産を買い、その結果、貧しい人は貧しいまま、金融資産・株式・不動産などを所有していた人は恒常的に利益を上げました。それが危機のたびに貧困層がさらに貧しく、富裕層がより金持ちになる理由です。これらのプロセスは、非常に強力な人口の階層化をもたらすのです。しかし、悲しいかな、経済はこのように機能しており、多くの金融アナリストが述べているように、私たちは一種の行き止まりに近づいています。これらすべては、中央銀行がその機能にうまく対応していないことを示しています。

そこで人々は、お金の価値を維持するため、代わりの方法はないかと探し始めました。増えないまでも、少なくとも失うことはない方法を。それが、多くの人が金・債券・株式などに投資している理由です。同時に、インタ–ネットの登場で経済が急速に発展し始めたため、人々はもはや物理的な形でお金を保持する必要がない、ということにも気づきました。そして、電子マネ–の概念が浮上したのです。


ビットコインのようなデジタル通貨を作るという考えは完全に新しいものではありません。それでも、ビットコインと他のタイプのデジタルマネ–との間には違いがあります。PayPal、Western Union、Skrillなどの電子マネ–システムを使用していれば、あなたの資金は同じ会社に保管されます。この場合、資金は集中管理されるのです。つまり、あなたのお金の運命は、これらの会社の特定の人々の決定にかかっているということです。これらの決定にあなたが影響を与えることはできません。

暗号通貨の利点

暗号通貨はかなり異なっています。この分散型通貨は、単一トランザクション処理センタ–からの独立性が特徴です。暗号通貨取引を追跡することは非常に難しく、キャンセルすることは不可能です。このタイプの通貨を使用すると、2人の人が金融取引センタ–を用いることなく、インタ–ネット上で直接売買取引を行うことができます。

では、法定通貨に対する暗号通貨の利点について詳しく説明しましょう。これらの利点は明らかです!

発行および流通基準:暗号通貨は一度確立されれば不可侵ですが、法定通貨の基準は中央銀行によって任意に変更されます。

発行が実行される:暗号通貨はネットワ–クから参加者へと流れ、法定通貨は中央銀行から銀行へ、銀行から企業へ、そして企業からのみ参加者へと流れます。

資金のフロ–: 暗号通貨は直接、法定通貨は銀行、支払システム、現金

市場参加者数:暗号通貨は500万人、法定通貨は70億人

トランザクションスピ–ド:暗号通貨は高速で、 法定通貨は遅い

匿名性:暗号通貨では常時可能、法定通貨の現金を取り扱うときに時々可能

インフレ–ション:暗号通貨のみでは不可能、法定通貨では一定の現実

レ–トのボラティリティ:暗号通貨では間違いなく高く、法定通貨は低い

ビットコインの発明者、そして彼がこの時代のバットマンである理由

2008年の世界金融危機の最中、サトシ・ナカモトと名乗る人物が ビットコインを設計し、独自のリファレンス実装を作成しました。彼はネットワ–クを立ち上げた最初のビットコインソフトウェアと、ビットコイン暗号通貨の最初のユニットを公開しました。ビットコインは、他のすべてのデジタル通貨とは大きく異なる新しいタイプのデジタル通貨となりました。主な違いは、分散化されていることです。よって、各参加者がその運命に影響を与えることはできません。

以下の疑問が出てきます。ネットワ–クには沢山の人がいてお互いを知らないため、信頼し合えないのは当然です。では、どうすれば支払いが確実に行われ、お金が盗難されるのを防ぐことができるのだろうか? ところが、そのような疑問点はサトシ・ナカモトが事前にすべて考え抜いており、私も『Mastering Bitcoin for Starters』という本の中で丁寧に説明しています。敢えて言うなら、ナカモトの分散型通貨に対するビジョンは真実であり、多くの問題を解決するものであると言えるでしょう。

ところで、サトシ・ナカモトの正体は依然謎のままです。サトシ・ナカモトは、個人ではなく、グル–プであると信じている人もいるため、それを明らかにしようとの試みが何度か行われましたが、いずれも成功していません。

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