Читать книгу ドラゴンの運命 - Морган Райс, Morgan Rice - Страница 12
第二章
Оглавлениеケンドリックは嵐の中、武器庫に立っていた。周りには数十名の仲間がいる。皆鍛え上げられたシルバー騎士団のメンバーだ。彼は穏やかな目でダーロックを見た。王の衛兵隊長で、不運な使命を帯びて派遣されたのだ。ダーロックは何を考えていたのだろう?彼は本当に、武器庫にやって来て王族で最も愛されているケンドリックを、武装した仲間たちの目の前で逮捕できるとでも思ったのだろうか? 他の者たちが黙ってそうさせるとでも?
シルバー騎士団が誓うケンドリックへの忠誠を、ダーロックはかなり甘くみていた。彼が正当な告訴事由をもって逮捕しに来たとしても – この場合そうではないが - 自分が連れ去られるのを仲間たちが許すとはケンドリックには思えなかった。彼らは生涯、そして死ぬまで忠誠を誓っているのだ。それがシルバー騎士団の信条だ。他の仲間が脅威にさらされたならば、自分も同じようにしただろう。彼らは生涯、ずっと共に訓練を受け、共に戦ってきたのだ。
ケンドリックは重苦しい沈黙に緊張感を感じ取っていた。騎士たちは、ほんの12名の衛兵たちに向かって引き寄せるように武器を手にしている 。衛兵たちは後ずさりし、この時間を気詰りに感じているようだった。誰かがひとたび剣を抜けば皆殺しになることがわかっていたに違いない。賢明にも、誰もそうしようとはしなかった。皆そこに立ち、指揮官であるダーロックの命令を待った。
ダーロックは緊張した様子で、つばを飲みこんだ。自分の持つ逮捕理由には見込みがないと悟った。
「連れてきた衛兵の数が足りないようだな」ケンドリックは穏やかに言った。「シルバーの騎士100人に12人の衛兵が立ち向かうのでは、負ける理由となってしまう」
青ざめていたダーロックのほおが赤らみ、彼は咳払いをした。
「ケンドリックさま、我々は皆同じ王国に仕えております。あなたと戦いたくはない。おっしゃるとおりです。この戦いに我々が勝つ見込みはない。命令を下していただければ、この場を離れ、王の元へ戻ります」
「ですが、ガレス様が別の、更に多くの者を送り込むだけだということはお分かりだと思います。そしてこれがどのような事態を引き起こすかも。あなた方はそうした者たちを皆殺すでしょう。しかし同じ国の者の血をその手で流すことを本当にお望みでしょうか?内戦を起こしたいとお考えですか?あなたの側にしても、部下の方々の命が危険にさらされ、また誰もかれもを殺すことになります。そんなことが彼らにふさわしいでしょうか?」
ケンドリックはそのことに思いを巡らし、見つめ返した。ダーロックの言うことには一理ある。自分のために部下に傷を負わせたくはない。いかなる殺戮からも彼らを守りたいと思った。それによって自分がどうなろうとも。自分の弟のガレスがいかにひどい人間、統治者であったとしても、ケンドリックは内戦を望んではいなかった—少なくとも自分のせいで起こってほしくなかった。他の方法がある。真っ向から立ち向かうことが最も効果的であるとは限らないことを彼は学んでいた。
ケンドリックは手を伸ばし、友人アトメの剣をゆっくりと下に置いて、他のシルバーの騎士たちのほうに向きなおった。自分を守ろうとしてくれたことへの感謝の気持ちでいっぱいだった。
「我がシルバーの仲間たちよ」彼は言った。「皆の加勢のおかげで謙虚な気持ちになれた。それは決して無駄ではない。皆よくわかってくれていると思うが、私は先代の王である父の死になんら関与していない。こうした事の成り行きから誰かは既に見当がついているが、真犯人を見つけたときには、私がまず最初に復讐する。私は濡れ衣を着せられてはいるが、内戦の引き金は引きたくない。だから、武器は手にとらないでいてほしい。私のことは穏やかに扱ってもらうようにする。リングの者どうしで戦うべきではないからだ。正義が存在するなら、真実はやがて白日の下にさらされる。そして私は皆のもとにすぐに返されるだろう」
シルバーの者たちはゆっくりと、不本意ながら武器を下ろし、ケンドリックはダーロックに向き直った。そして前に進み出て、ダーロックと共にドアに向かって歩き出した。自分を取り囲む王の衛兵の間を、ケンドリックは誇り高く背筋を伸ばして歩いて行った。ダーロックはケンドリックに手錠をかけようともしなかった。それは恐らく敬意または恐怖から、あるいは、ダーロックにはケンドリックが無実であるとわかっていたからかも知れない。ケンドリックは自ら新しい牢獄へと向かうだろうが、そう簡単には折れないだろう。どうにかして汚名をすすぎ、釈放させ、そして父の暗殺者を手打ちにするであろう。それが自分の弟であっても。