Читать книгу 地球への旅 - Danilo Clementoni - Страница 9

宇宙船シーオス - 木星の軌道を航行中

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小型だが快適な球状の船内移動モジュールが秒速約十メートルの速度で第三コンジットを走行していた。その先に、アザキスの旅の連れ、ペトリが待つ区画の入口がある。

シーオスも同じく球状の形状をしており、直径は九十六メートル、それぞれの長さが三百メートル余りの管状ダクトが十八本張りめぐらされていた。ダクトは十度の角度間隔で子午線状に宇宙船の全輪郭を覆っていた。内部は二十三階建て、高さ八メートルの中央の階(十一階)を除く各階の高さは四メートルある。それぞれの階へは、各階にあるコンジットの停車場から容易にアクセスできるようになっている。実際に、船内の最も離れた二点間を移動するのにかかる時間はせいぜい十五秒といったところだ。

モジュールにブレーキをかけると、ほとんど音も振動もなく止まった。かすかにシューと音をたててドアが開き、その向こうにペトリが立っていた。仁王立ちして腕組みしている。

「何時間待たせるんだ」いかにも納得いかないという口調だ。「そのいつも持ち歩いているくさい代物で、とうとうエアフィルターでも詰まらせたか?」実際には、葉巻はほんのかすかに匂う程度だ。

ペトリの挑発的な物言いは無視して、アザキスは携帯式アナライザーをベルトから引き抜き、親指でスイッチを入れた。

「これを持ってろ。急がなくちゃな」アザキスはそう言うと、ペトリにアナライザーを手渡しながら、もう一方の手で右側の連結器内部にあるセンサーの位置を探った。「到着予定時刻は約五十八時間後だ。それに、心配になってきてな」

「何が心配なんだ?」少し驚いた様子でペトリがたずねた。

「分からない。でも、何か良くないことが起こりそうな気がするんだ」

ペトリが受け取ったアナライザーが周波数を変えながら一連の音を発しはじめた。その音が何を意味するのかも分からず、アナライザーをまじまじと見た。ペトリはアザキスの顔を見つめ、その表情から何らかの説明が得られるかを探った。しかし、手がかりなし。アザキスは用心深い動作で別の連結器にセンサーを取り付けた。アナライザーが、またしても意味不明の音を発した。そして沈黙。アザキスはペトリの手からアナライザーを取りあげ、結果をよく確かめてから、笑みを見せた。

「すべて順調だ。続けよう」

ペトリはその時になって初めて、自分がしばらく息を呑んでいたことに気づいた。大きく息を吐くと、即座に緊張が緩んだ。ただし、小さな不具合とはいえ、連結器の故障はミッションに悪影響を及ぼす恐れもある。ペトリとアザキスは再度機器に向き直り、作業を続けた。この作業が終われば完了、もうすぐだ。

「ちょっと一風呂浴びてくる」体についた細かい埃を払い落しながらペトリは言った「コンジットに来てみると、いつもこんな具合だ……」そして上唇を歪めて付け加えた「これも修行ってことか」

アザキスは微笑んだ「じゃあ、後でな。ブリッジで」

ペトリはカプセルを呼び出し、次の瞬間にはその場を去っていた。

中央管制システムが船が木星の軌道を無事に通過し、スムーズに地球に向かっていることを告げた。アザキスは目をわずかにすばやく右に動かし、オーコムに再度航路を示すよう求めた。赤い線に沿って移動している青い点が火星の軌道にまた少し近づいた。カウントダウンは、到着予定時刻は今からきっかり五十八時間後であり、船は現在秒速3,000キロの速度で航行中であることを告げていた。アザキスの緊張は徐々に高まっていた。彼らの宇宙船は新型ボウセン・エンジンを搭載した初めての機体であり、これまでに用いられてきた宇宙船とはコンセプトが全く異なっていた。設計者はこの宇宙船は光速のほぼ十分の一の速度で推進できると謳っていた。だが、それを限界まで試してみるつもりはない。今のところ、処女航海としては、秒速3,000キロでも充分すぎる速度だ。

通常、シーオスには五十六名の乗組員が乗船できたが、最初の任務に当たっては、ペトリとアザキスを含むわずか八名のみが選ばれた。長老達はこれについて明確な理由を述べなかったが、アザキスらは、この旅の性質と目的地がその理由だろうと推測した。明らかに困難が伴う任務である以上、多くの人命を危険にさらすべきではない。

俺らは消耗品っていうことか? そんな言い草あるか。いつもしまいにはこんな風になるんだ。誰かの首をかけてやらなきゃならない時に、誰がそれを率先してやるかって? アザキスとペトリさ。

結局のところ、冒険におあつらえ向けの性格と困難な状況において答えを見出す突出した能力により、彼らは少なからず特権を得てきた。

アザキスは、大陸南部の美しい街サーランに建つ、かつては地域のクラフトマンの倉庫として利用されていた巨大な建物に暮らしていた。そして特権により、その建物を自分好みにアレンジする許可を得ることができた。

南側の壁は、宇宙船に使用されているのと同じようなフォースフィールドにし、もはやアザキスの体と一心同体ともいえる自動形状形成肘掛け椅子に体を沈めながら、すばらしい湾の眺めを堪能できるようにした。必要に応じて、この壁は十二のGCS伝送映像を同時に映し出す巨大な三次元システムにもなる。この高度な監視・管理システムのおかげで、これまで何度も重要な情報を事前に収集してかなり先の危機まで整然と解決するのに役立った。何があっても、これを手放すつもりはなかった。

以前倉庫だった邸宅のうちの一画は丸々、何年もかけて様々な宇宙ミッションで収集した土産物のコレクションを所蔵するためのスペースになっている。コレクションの一点一点を見るたびに、それにまつわる思い出がよみがえり、この奇妙なモノの寄せ集めの中に身を置くたびに、自分の運の良さ、特に何度となく危機から救い出してくれた忠実な友に感謝せずにはいられなくなる。

ペトリは、知力にも優れた男でありながら、ただ与えられるだけの技術に頼ることをよしとはしなかった。ほとんどすべての種類の航空機を操縦でき、また、あらゆる武器、局地的・惑星間通信システムに精通していながらも、自分の勘と手作業のスキルを頼りに、直面した問題を解決することを好んだ。これまで幾度も、形さえない金属の塊から素早く移動装置や無敵の防御装置を創り出してきた。まったく非凡としか言いようがない。必要なものはほぼすべて自分で創り出すことができた。この才能の一部は腕の良いクラフトマンである父から受け継いだものであったが、大部分は彼自身の芸術への情熱から来たものだった。実際、少年の頃から、ペトリはクラフトマンが役に立たないものから、有用なものと技術を生み出し、さらには「美」の領域に達するものさえ創り出す技を見るにつけ、畏怖の念を抱いてきた。

けたたましく不快な断続的な音が、アザキスをいきなり現実に引き戻した。自動近接アラートが作動したのだ。

地球への旅

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